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いつぞやのお題、の続きの続きの続きの続き、の終わり。

 そんなわけで、エピローグっていうか、おまけ程度。
 見つかったあとのお話。そしてあとがき。



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「いいんちょがすっごい必死な顔で、黒岩は何処!?とか言うから教えちゃったんだけど……いやー、それにしてもクロもやるねぇ」
「うるさい黙れ。つか、お前ら、なんか勝手に物凄い勘違いしてねぇか?」
「へっへー。アレを勘違いと取れる人のほうが少ないと思うぜ?」
「っ、そ、それはだな」

 結局起きないいいんちょを背負って、俺と佐枝は帰途についていた。
 時間は既に午後七時を回り、いいんちょが俺を捕まえにきたのが三時ぐらいだったと思うから……大体四時間ぐらいか。時計なんて携帯電話ぐらいしかなかった上に、電波が届かないとわかってからはお互い携帯を見ようともしていなかったから時間の経過具合なんてまったくわかっていなかった。
 空には星がちらちら輝いている中で、てくてくとほとんど来たことがない逆方向の通学路を歩く。

「両手がふさがってなきゃ殴ってるのに、くそ」
「おぉ、つまりコレは今までの恨みを果たすチャンス!」
「やってみろ。俺はいいんちょを放り投げてでもお前を殴る」
「クロー、顔がめっちゃマジだぜー。怖いぜー」
「うっせぇ、変な声出すな!」

 俺の背中には、依然として眠りこけているいいんちょ。俺がいいんちょを背負って教室に帰ると、あっという間にクラスメートに取り囲まれた。このクラスメートが、サボっていた俺を言及するために集まってきたならどんだけ楽だっただろう。そっちのほうが絶対楽に決まっている。
 しかし、俺がサボったことなんてもはや皆にとってはどうでもいいらしく。
 四時間も二人で姿をくらましていれば、当然色々と騒がれるわけで。準備のために教室にまだ残っていたクラスメートからは、何か一言二言言われたり、逆に何も言われずににやにやされたり、女子生徒の数人は顔を赤くしながらあれこれ噂話したりして。野郎供は何を勘違いしたか、物凄い勢いで根掘り葉掘り聞いてくるわで。その野郎供があまりにもストレートな質問してきたせいで、他の女子生徒に殴り倒されるという光景はなかなかにびっくりだった。

 で。
 当のいいんちょは眠りこけてるから被害はゼロ、全部その皺寄せが俺のところに集中射撃されたわけで。何か世の中不公平だ。
 おまけに。

「つか、何で俺たちがわざわざ家まで運ばなきゃならんのだ」
「さー? まぁ、場所はわかるしいいんじゃね」
「よくねーよ。眠っている自分ん家の娘を、知らない男が背負って帰ってみてみろ。親御さんが何ていうか考えるだけで気が重いっつの」

 ため息混じりに言った俺の言葉に、佐枝は「あー、それもそうだねー」とものすっごい気が抜けた声で応答した。その声に、俺の肩が思わず落ちる。
 あの騒ぎから抜け出すため、俺は自分の鞄を引っつかんでそそくさと逃げようとしたのだが、何故か女子生徒たちからの満場一致の要望で俺がいいんちょを家まで連れて帰ることになった。俺としては起きるまで他の女子生徒のとこにいさせたほうがよかった、というか、是非ともそうしてほしかったのだが、何か揃いも揃って含み顔で教室から追い出された。アレだ、今までいいんちょが抜きん出て女子生徒の割に怖いやつだと思っていたが、案外女子生徒っつーのは軒並み根っこの部分で怖いのかもしれんね。
 いいんちょの家の住所をメモで渡され、流石に一人で行く勇気はなかったので佐枝を捕まえてきたが……逆効果かもしれんな、これは。

「ま、ぼちぼちいくか……途中でいいんちょが起きてくれるのを願おう」

 俺の横で、頭の後ろで手を組んでふらふらと空を見ながら歩いていた佐枝は、そんな俺のため息を聞いて、

「んー、どうかね。多分おきないんじゃねーかなー」

 なんて、口元に少しだけ笑みを含んで笑っていた。



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あとがき。
 こういう形であとがき書くのはめっちゃ久しぶりです。昔は某SSとかでよくあとがき書いてたんですが。あとがきの書き方に少し特徴つけてたんで、それを暴くと昔のPNまでずるずる発掘されそうなのでお口にチャックしときます。

 そんなわけで、題「未定」の課題作品無事に終わりました。書き始めたのが10月ぐらいだというのに、偉い時間かかってしまった。特に最後一ヶ月って。いくらスランプで書くの遅いからってこれはないだろ、と自分でも思いました。
 年末年始に実家に帰って、暇なときに手直しでもやっときます。

 さて、この作品ですが、ぶっちゃけたところある程度骨組みはまこぴー側で決められていたため、とりわけ中身に対しても考え込んでません。ただ、「ガチンコリアル恋愛系」といわれたんで、とりあえず「できすぎな恋愛」とかそういうのはさくっとやめました。何処まで小説としてリアルに書くか、っていうのに比重置いたつもりです。それでもやっぱりふぁんたじー、な内容になってしまうのは、ラノベっぽい作風で書いてるがゆえに宿命なんですが。

 そんなわけで、書いてる俺ですらまどろっこしくなった物語ですが、これにて閉幕。もし縁があればまたこの作品のキャラ使うかもしれませんので、そのときはよろしくお願いいたします。
 何かあればお気軽にweb拍手でもコメントでも残しておいてくださいな!



おまけ。
「あ、そーいやてめぇ、彼女いたんだってな?」
「は? 何それ?」
「何それ、はこっちの台詞だ。いつの間に大学生となんか付き合い始めたんだコラ」
「……? あー」
「あー、じゃねぇよ、あーじゃ。その大口にゲンコ打ち込むぞ」
「おーけーおーけー、ちょっとまったクロ。てか、お前見てたの?」
「いや、俺は見てねぇけど、いいんちょが」
「……んー。場所とか聞いた?」
「駅前、つってたかな」
「あー、じゃあ、それ姉貴だ」
「は?」
「だから、姉貴。姉ちゃん。お姉ちゃん」
「連呼すんな、呼び方変えんな気持ち悪い。っつーかやっぱそういうオチかよ!」
「やっぱ恋人に見えんのかなぁ。いつもくっつかれてるし」
「紛らわしいんじゃボケ」
「いたっ!?」

 作中に出す暇がなかったのでこっちに。こういうオチでした。
by Akira_Ikuya | 2006-12-28 14:36 | 一次創作


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