Scene18

 Gvレポ書こうとしてたら、結局気力が続かなくてその代わりにCDL3話を。
 4話は大体構成決まってるので、そろそろ書き始めます。



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 ――――カタ、カタカタカタカタ
 ――――多項式データ確認、認証開始――0%―67%――
 ――――100%―――クリア、デコード開始します―――


 無機質なキータイプの音が静かに響くこの部屋で、エレメス=ガイルは端末のコンソールを指先で弾いた。


 ―――――可逆式圧縮ファイル確認、解凍開始――――


 いつもはだらりと緩められている、その優しげな瞳を引き締める。青白く光るモニターが、エレメスの顔を淡く照らす。


 ―――――5%――――57%――――72%――――100%


 険しい光を灯していたその両目が、思わず虚をつかれたかのように点になった。
 モニター上に新たにウインドウが出現し、真っ黒なバックカラーだったモニターにびっしりと白色の文字が羅列される。圧縮時に精度を欠片も歪められずに固めれたファイルは、エレメスの手によって本来の姿へと解凍が開始されると否や、まるで自らを解き放つかのように一瞬でモニターの上を様々な文字で駆け巡っていく。もはや目では追いつけない。秒速でそのモニターの文字全体を書き換えていくそのプログラムは、あっという間にエレメスの所有する端末を取り込んでしまい、エレメスは驚き半分、自失半分、参ったでござるなぁと一つ息を吐いて大きく伸びをした。

 そんなエレメスを放って、カヴァク=イカルスから届けられたこのプログラムは、ウインドウのスクロールを一秒でぐるぐると切り替えていく。
 もうこれは、自分が余計なことなどしなくても、カヴァクの思惑通りにプログラムが勝手に動いてくれるだろう。ベースプログラムしか与えていないというのに、僅か数月の短期間でよくもここまで物に出来たものだ。
 カヴァク=イカルスという少年を、決して見くびっていたわけではない。見くびっていたわけではなかった、が。結果として、予想をはるかに上回る速度でカヴァクは成果を上げていた。辛うじて目が追える速度へ減速したモニター上の出力文字の中に、エレメスでさえ見たことがないコードが時折混じっていた。もはや、与えた紙面コードだけではなく、最初から――――この生体工学研究所が研究所足りえたころに本来使われていたプログラムコードを、全てカヴァクが掌握していていると言うことを如実に表していた。そこにあるものを何の衒いもなく取り込み、自分の体系に加える。その性質は彼の部屋のように取り留めのない散らかったもののように見えるかもしれないが、その実、やる気さえあればどの能力でも引き出せるというものだった。
 尤も、本人がやる気になるのは、あの常時だらけきった半眼を見れば自ずと限られてきそうではあるけれど。

 エレメスは今度こそ苦笑のようなものを口の端に引っ付けて、最後の文字が出力されたのを見届ける。プログラムは順調に稼動中。一つのエラーもなく磨き上げられたそのプログラムコードは、いつぞやの晩夏、エレメスがカヴァクの部屋を訪れた際に渡した数枚の紙切れの復元コードだった。起動実験は成功。二階部のカヴァクの部屋で復元されたこのコードは、カヴァクの部屋の端末で再度産声を上げて今、三階部にあるエレメスの部屋でも同じように起動している。値入力を求める、Pleaseの文字列。違う端末でもしっかりと動くことを確認して、エレメスは眉根を寄せた。

 二階部の端末と、三階部の端末。その端末は所詮たった一ピースのクライアントにしか過ぎず、姿かたちこそ違えど中身に入っているアプリケーションもプログラムもどの端末も大差がない。プログラムは起動するものの、いくらそこに値や文字列を入力しても、返ってくるのは膨大なエラーコード。エラーコードを吐くということはプログラム的に不十分なのか、と問われれば、エレメス、カヴァク両名は揃って首を振るだろう。
 プログラム的には、これは何一つ間違えていない。スパゲッティコードを越えて、見事なまでに複雑怪奇な子供が適当に詰め込んだおもちゃ箱のようになっていたこのコードは、今や整然と並べられ、厳かに値の入力を待っている。

 入力を、待っている。
 カヴァクはまだ、その入力されるべく値に気づいてはいないだろう。気づいていない、というより、考え付きもしないというべきだろうか。この値を入れるのは、この端末の前に立ち、コンソールをいじる自分たちではない。

 このプログラムにデータを刻み込むのは、人間ではない。四階部に、今なお無人のまま稼動する、メインサーバー。この研究所全てを監視し、全てを司り、全てを睥睨するその言葉なき悪意は、本来ならここで情報を受け取るはずだった全クライアント端末へとデータを送り続けている。四階部のメインサーバーへと有線でコネクトされている二階部、三階部の各端末へと。

 悲劇の引き金ともなった、スタンピートと名づけられたモジュール完遂、ただそれだけのために。

「……はぁ」

 くしゃり、と前髪を掻き分ける。この青錆色の髪の毛も、気づけばもう手の施しようがないほどに鬱蒼としていた。整髪にいくら無頓着といえど、これはさすがに自分でも酷いと思う。いつか誰かに、梳くだけでもしてもらおうか。
 日常いつもの自分に切り替えるため、この端末のことも、データのことも、今は全て思考の奥へと押しやる。考えることは、一人のときいくらでもできる。コンソールを動かし、未だに点灯を繰り返していたウインドウを閉じた。
 そして、くるりとキャスターつきの椅子を百八十度回転させ、座ったまま後ろを振り向いた。

「で、セシル殿はさっきから何をしておられるのでござるか?」
「あによ。いちゃいけないの?」

 特に何をするでもなく、エレメスのベッドの上に陣取り、所有者の意思など確かめることすらせずに枕を抱きしめながら、ぺたんとシーツの上に座り込む人影が一つ。さらりとした清流のような髪の毛の先端が、ベッドの上であちらこちらに散らばっていた。その髪をたどった先の、シーツのほうにそっぽ向いたままむくれたような面持ちのセシル=ディモンに、エレメスは微苦笑する。

「そういうわけではござらんが……夜ももう遅いでござるよ?」
「どうせ、まだ起きてるんでしょ? だったらいさせてよ」

 おや、と片眉を上げる。語調はいつもと変わらないものの、何か違和感がある。違和感、というより、見慣れた食器が消え、その代わりに別のものがあてがわれているような、そんな奇妙な感覚。
 自分の知る限り、セシル=ディモンという少女は、自分に関係することをストレートに言うはずがない。いつだって真逆のことを言ったり、強がったりで、本音を探ることは簡単だがその実、彼女の口から語られることなど滅多になかった。
 けれど、今少女が言ったその言葉は、どうしようもない程の心細さを感じさせて。彼女に似合わない、似つかわしくない。自分の知る彼女とは、違う彼女の反応。

 そして、気づく。彼女の両腕の中に納まっている枕はぎゅっとへこんでいて。必死に彼女は、何かにすがるように枕を抱きしめていて。セシルはさっきから一度も、エレメスと視線を合わせようとはしていなかった。

「セシル殿」

 小さく区切って、彼女の名前を呼んだ。
 怯えたように、彼女の肩が震える。その反応を見て、エレメスの眉根が下がった。
 もしかして、自分が彼女を部屋から追い出すとでも思われていたのだろうか。別段冷たい含みを持たせたわけではなかったのだけれど、もう少し優しく呼びかければよかったのかもしれない。いつまで経っても、幾年月日が流れようとも、自分はそういう不器用なところは、欠片も変われていないようだった。
 だから。
 エレメスは椅子から立ち上がり、一歩を踏んでベッドの前まで来た。

「別に構わないでござるが、眠くなったらきちんと眠るでござるよ?」

 そう言って、ベッドの淵に腰掛ける。
 ぎし、とベッドが揺れて、セシルの視線が自分の背中に合わさった。彼女の疑惑にぬれた眼差しが自分の背中にちりちりと当たるのが、わかる。
 何があったのかは知らないが、何かに怖がっているように見える少女に真正面から問い詰めるなどという真似をできるわけもなくて。それならば、と、エレメスは彼女にあえて背を向けた。ベッドの中央に座っているセシルからは自分の背中しか見えなくて、自分はセシルの顔を見ることはできない。それでも別に、自分たちの距離としてはちょうどいいんじゃないだろうか。
 変わることができない自分と、変わることを許されない少女。そんな二人の、距離としては。

「わかってるわよ、そんなの」

 ふてくされたように、ポツリと呟かれる。いつもの彼女らしいその言葉に、エレメスは何だか少しだけ嬉しくなった。
 そのまま、特に何もなく沈黙が続く。エレメスは、手を後ろに投げて体を支えて、おとがいを反らして天井を見た。長い自分の髪が、ベッドの上にざぁっと広がる。
 セシル自身、特に何も言いたいことがなかったのかもしれない。ただ、何となく。彼女にとって見れば、そんな程度の気持ちかもしれない。秋も過ぎ去ろうという、寂しい夜だ。一人夜にて、不安に狩られることがあってもそれを責められる謂れもない。それでも、カトリーヌの部屋でもマーガレッタの部屋でもなくここを選んでくれたことが、胸に淡い痛みを差し込んだ。

 寂しい夜だ。
 一人の者たちが互いに部屋を訪れることなど、何の感傷もないはずではないか。

「…………ねぇ、エレメス」

 だけども、彼女は。
 そんな彼を、呼んだ。

「何でござろう?」
「……訊かないの?」
「また異なことを。何か訊かれるようなこと、あるのでござるか?」
「あ、え……ぇと、な、い」
「眠くなるまで、ゆるりと過ごされるといい」

 そこまで言って、一つの事に気づいた。
 カヴァクから転送されてきたプログラムを見ていたばかりで、そう言えば客人に何のもてなしもしていない。自分は暑さ寒さにはとんと疎い体になっているものの、普段着である薄桃色のセーターと七部丈のスキニーだけのセシルは寒くなかっただろうか。
 ばつの悪さを感じ、エレメスはベッドの淵から立ち上がろうとした。

「……ああ、これは気が利かなかったでござるな。今何か、温かいものでも煎れてくるでござ――――」
「行かないで」

 僅かに上体を起こしただけだったエレメスの左腕に、セシルの両腕がまきついた。そのままベッドへと引き倒され、さしものエレメスもバランスを崩してベッドの上に倒れこむ。突然の出来事にぶれた視界が次に捉えたのは、茶のかかった金色のストレートな髪だった。
 髪をたどり、その先。セシルが、自分の顔を見下ろすかのようにベッドの上に手をついていた。
 一瞬、声を失った。
 彼女のサファイアブルーの瞳が、自分の金褐色の瞳を覗き込んでいた。すっと通った鼻筋と、薄いピンク色の唇が視界に写る。彼女の吐息が、唇にかかった。こんなに間近で彼女のことを見たのは、いつ以来だろう。意味もなく、心臓が二回ほど、跳ねた。
 けれど、自分の頬が熱を持つ前にセシルのほうが先に顔を赤く染め上げた。ばっ、と、金色の髪が跳ね踊る。赤くなった顔を僅かに離したけれど、彼女は、やはりエレメスの顔を覗き込んだままで、もう今度は顔を背けはしなかった。

 手を、伸ばしたいと思った。
 手を伸ばして、彼女の頬に、触れたいと思ってしまった。

「……何をするでござるか、セシル殿」

 倒れたまま、自分の手で拳を作る。
 セシルの顔のアップにどぎまぎしながらも、口から滑り出た言葉は自分でも驚くほど、優しいものだった。
 自分は、こんなにも穏やかな声音で喋れるような、人間だっただろうか。一つの約束のために、ずっと、ずっと、長い間、友を偽り続けている人間なのに。

「危ないでござろう? 何か用なれば、きちんと待つゆえ」
「怒らないの?」
「怒ってほしいのでござるか?」

 覇気が感じられないセシルの声に、エレメスはそっと訊き返した。セシルは、ふるふると首を振る。
 いつもの快活な彼女は、何処へ消えてしまったのだろう。昨日までは、いつもどおりの彼女だったはずなのに。

 手を伸ばしそうになる。
 自戒のために握られた拳を、そっと開きそうになってしまう。

「……怒ってほしくは、ないけど」

 エレメスの肘が動いて、手が伸びるその前に、セシルの手が、エレメスの頬に触れた。
 冷たい陶磁器のような指先が、くすぐるように、怖がるように、おっかなびっくりと頬の上で動く。少しの振動を与えるだけで驚いて手を跳ねどけてしまいそうなほど、彼女の手はたどたどしくて、エレメスは何も言えないままセシルの顔を見上げ続ける。
 セシルはまだ、彼を見つめ続けていた。息を、吐く。惚けているつもりは、自分では認識したくなかったのだけれど。

「今日は、冷えるでござるな。手が、こんなにも冷たい」
「あんたが無駄に熱いだけでしょ。あたしは寒くないもん」

 今日は寒い晩秋の夜だから。

「……何があったでござるか? 話せるのなら、聞くでござるよ」
「ん……」

 セシルが手を離して、また視線をそらした。どうするか少しだけ迷ったけれど、エレメスはむくりと体を起こした。けれど、決してその場からは離れようとせず、先ほどと同じようにまた背を向けてベッドの淵に座る。
 聞いてしまったのは、他ならぬ彼だ。だから、彼女が少しでも話しやすいように。意地っ張りで強がりで、今にも泣いてしまいそうだった彼女が、自分に向けて吐露できるように。
 不器用な彼が出来るせめてもの気遣いは、限りなく正解に近くて、けれど、どうしようもなく彼女にとっては不正解だった。そのことを知る術は、まだ彼にはない。そして彼女自身、その不正解はわかっても、自分にとっての正解がわからない。

「夢、見たの」

 セシルの呟きが、静かな部屋に溶けた。
 無理には、急かさない。ベッドの上に無造作に投げ出されたセシルの指先に、そっと、自分の右手の指先を添える。
 セシルの指先はまた怖がるように震えたけれど、彼女は逃げなかった。

「知らない部屋にいて、知らない皆がいて」

 指先の震えは、彼女の声に移っていた。それでも彼は振り返らず、何も言わず、ただ目を閉じた。

「でもね、あんただけ、いなかったの。……ううん、いなくて、よかった。よかったって、思ってた。そのときは」

 だって、と、続けた声は掠れしまっていてほとんど聞き取れなかった。セシルの声の震えが増した。
 ひくっ、と、嗚咽を飲み込んで。

「あたし、皆に、弓を、向けて」

 セシルは、その言葉を口にした。

「皆を、撃っちゃったんだ」
「―――な、に」

 驚きのあまり、エレメスは振り向こうとした。今聞いた内容はとても断片的で、それはただの悪夢だと思える内容だったかもしれない。けれど、エレメスの心を打ち抜く言葉が、そこにはあった。知らない部屋、知らない皆、そして、弓を向ける、セシル。
 ――――連想される言葉は、一つしかなかった。

「みないでっ」
「っ」

 エレメスが振り向くより早く、セシルの声が彼を制した。震えも何もかも押し込んだその声に、エレメスは今脳裏によぎった光景も忘れ体が止まる。彼の右手に、ぽつり、と、温かい液体が落ちる。
 こつん、と、セシルの額がエレメスの肩に触れた。

「お願い、見ないで。今の、あたしを、見ないで」
「……すまなかった」

 額を肩に当てたまま、セシルは首を振った。その拍子にこぼれた涙が、またエレメスの手に落ちる。

「怖かった。怖かったの。皆を、皆を、撃ってるあたしが。何も言わないで、何も、ためらわないで、ただ、矢を、番えて、弓を、絞って」

 いくら張り裂けそうな声を上げても。いくらそんな自分をとめたくても。
 夢の中で、その光景は繰り返し、繰り返し。傍で見続けている彼女を意に介さず、夢の中のセシルは撃ち続ける。

「皆が、皆が、……んじゃって、そしたら、最後に」

 あんたが、出てきたの。

「……」
「わかってる……夢だって、わかってる。ごめん、こんなことで困らせて、ごめんね」

 泣き声で謝るセシルに、エレメスは何を言えばいいのかわからなかった。夢だといって、慰めればいいのか。皆を殺してなんかいないと、あやせばいいのだろうか。 
 まだ今は、スタンピートは起きていない。まだ彼女の自我意識は、それを夢だと自認している。まだ彼女の表層心理は、それを封鎖領域のメモリーとは認識していない。
 だからこそ、触れない。夢だと囁いて、現実と認識させてはいけない。

 自分をそう納得させながら、エレメスは、情けなくて泣きたくなった。
 今瞬時に考えたことは、きっと詭弁でしかない。その可能性がある、というだけで、本当なら慰めようと思えば慰めることだって出来る。禁止ワードに触れないように、全てを夢だと思い込ませることだって、出来るのだ。

 けれど、彼はできなかった。
 出来るはずが、なかった。

 そんなことをしてしまえば、きっと彼女は不安を解消することができないまま泣き続けるだろう。
 泣き続ける彼女に、果たして自分が何をしてやれるというのだ。安心する言葉など吐くこともできず、抱きしめることもできず。自分に出来ることといえば、こうして肩を貸すことぐらいしか、ないのだろうか。

「ごめんね、ごめん――――でも、おねがい」

 もう泣くことを隠しもせず、彼女はエレメスの服を握り締めながら顔を肩口に押し付けていた。
 服に雫が染み込み、彼の体を濡らす。決して心まで染み込んでこれないその涙は、頬へと手を伸ばせなかった自分の掌そのものだと、思った。

 それが、とても悔しくて。
 とうとう彼は。

「おねがい……そばに、いて」
「……相仕り申した。安心、召されるといい」

 見ないで、と言った彼女の言葉に逆らって。
 今までずっと、ずっとずっと蓋をしてきた気持ちにすら抗って。

 泣いていた彼女を、抱きしめた。




 泣き疲れて自分の膝の上で眠ってしまったセシルの頭を撫でながら、エレメスは今はもう暗い色を写したままのディスプレイを見やった。システムの解明。プログラムの解析。今行っているそれらが無駄とは、思わない。少しずつだけれど、前へと進めていると、思う。
 それなのに、この現状は一体どういうことだ。
 彼女が見た、夢。前回の、血の惨劇。

 夢に怯え震える彼女の姿が、エレメスに死ぬ間際の彼女を思い出させた。彼女の胸に錐を差し込んだ、あの感触がまざまざと手の中に戻る。

 本来なら封鎖領域に入っているはずのメモリーが、夢とはいえ、何故彼女の脳内に流れ込むのか。今までにこういうことがあった事例はない。こんなことが続いていれば、何の前触れもなくスタンピートが起きていたはずだ。
 自分が知らないところで、何かが起きている予感がする。
 自分はまだ何も解決できていないのに、何かが終わろうとしている気がする。

 それがいいことか、悪いことかは、わからない。
 全てが終わるのならば、それがいいのだろう。終わるのならば。終わってくれるの、ならば。

 撫でるのを止めて、拳を握り締めた。
 自分の命は、あの約束のために。
 自分の未来は、ただ皆のために。

 たった一つの純粋な願いは、まだ彼の足が止まることを許さない。
 彼が誰かの隣にいることを、決して許しは、していなかった。
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by Akira_Ikuya | 2008-04-29 02:03 | 二次創作


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