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ってことで。

 白乃と居酒屋で飲み潰れ、その後白乃の家から人狼イベントに参加し、そしてだらだらとネタ動画(Yotube)見ながら笑いながら眠りにつき、白乃がバイトに行った後から家を出ようとしたらアパートの鍵がなくて冷や汗かいた晶です、こんにちわ。
 いや、うん、アレはほんとにびびった。っていうかあせった。
 まぁ、そんな風に、白乃の家のコロンにすっかり忘れられたようで吼えられたりおびえられたりしながらも、何とか思い出してもらって膝に飛びついてくるようになった白乃宅訪問も終わり、家に帰ってきて眠気と戦いながらブログを書いてます。やっぱりコロン可愛いよコロン。我が家の駄犬も勿論可愛いけども。ああん、わんこらぶ。

 って、本題からずれた。
 ええと、土曜日までアンケート募集したんですが、友人各位にとりあえずいいたいのは。

 お願いだから、メッセじゃなくてコメント欄に言ってくれ(死
 
 第三者の人にどれぐらい票が入ってるか見てもらおうとしたのに、明らかにコメント数<メッセ数だったし! っていうか、乗せるな、という意見がひとつもこなかったってどーなのよこれ。俺猪突猛進に突っ走っていいのか。っていうか、後々苦笑されんのも何かイヤだなと思いつつ、まぁ、別にかまいやしないかと結局マイペースゴーゴー。
 ってことで、追記は丸々小説になります。見たくない人はプリーズバックキー。



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 ダンッ、と、響く音が一度だけ聞こえた。
 壁に撥ね当てられたその体は、ずるずると壁と平行にずり落ちていく。体の至る所にずたずたに切り裂かれた傷を負い、もうその瞳には何も写せていない。失われすぎた血液が、彼女に剣を振るう力を奪い去ってしまっていた。ただ、何かを求めるように指が地を這っている。
 彼女の隣には、持ち手へ尽くすことができなくなった柄の長いツーハーンソードが二つに折れて、静かに横たわっていた。

「――――ァッ、ぐ」

 喉がひび割れたかのように痛い。
 声がかすれ、何とか声を、助けを求めるのではなく、助けようと、声をかき集める。空気をかき集め、引きつる喉を押さえ、もう光の差さない目を必死に向け、散り散りになってしまいそうな意識を掬い上げる。
 吸い込んだ空気は、僅かに錆色の焦げた味がした。
 彼女は、衝撃でばらばらになってしまいそうな体に必死に命令しながら、それでも、前を向いた。

「大……丈夫だよ、わ、た……し、は」

 声が続かない。木材が燃える小さな火花の音に、自分の声がかき消されてしまう。声を出そうとしてもヒュゥ、ヒュゥという音で途切れてしまう。
 たった一小節を言い終えただけでこみ上げてくる血に我慢できず、座り込んだまま思いっきり喀血した。
 また、大地に血の花が咲く。彼女の至る所につけられた傷からあふれ出す血の水溜りが、更にその水かさを増していく。鋼色のツーハンドソードの欠片が、赤褐色へと染まっていく。

「おび……え、なく……っふ、ぐっ、ぁ……て、いい……か、ら…………ね?」

 気取られてはいけない。優しいこの子の前で、私は絶対に屈してはいけない。
 屈してしまえば、きっと、この子は、優しい優しい、この私の自慢の妹は、絶対に壊れてしまうから。
 約束したんだ。あの子が怯えなくていいように、守ってあげるって。
 彼女は揺らぐ意識の中で、顔をあげた。

 バサリ、と、羽音が聞こえた。
 震えるような声を吐き続けながら、彼女は顔に降りかかった何かを見上げた。

「おねえ、ちゃん……は、だいじょ……ぶ、だか、ら……」

 もう届かない声を出し続ける。もう指先の感覚もなくて、気づけば手も足ももう動かない。かろうじて動く首と唇は、ただただ、彼女のほうだけに向けられていて。
 涙が、頬を流れる。失われてしまった両目から、伽藍堂のその空骸から、血とも涙ともつかない薄桃色の液体が両頬を伝っていく。

「だ、い……好き、だ……よ、フィ――――」
「あははははははは、はははははははははははははははははははははっ」

 彼女の、その安らかともいえる最期の一言は、目の前の少女の壊笑によって、誰にも聞きとめられることなく焼き焦げた空気へと消えていった。
 鼻腔を掠めたのは、荒涼とした炎の匂いと、錆付いた血臭だけだった。






 春。
 隣国に位置するミッドガルズ王国の数箇所の土地には、春の風物詩ともいえる桜が爛漫と咲いているようだが、このシュバルツ共和国はそんな気の利いたものはほとんど存在しない。工業発展を急いてしまったためか、そのような煌びやかなものが決定的に不足していた。町を飾るような華もなく、空に流れるのは白くきれいな雲ではなく、薄くにごった排煙のたなびき。
 街には桜の木々の代わりに煙突が次々と立てられ、国の発展のためにと、次々と大仰なまでの学術施設や科学工場が作られていく。多くの労働者が工場で働き、少数の者が華やかな衣装に身を包み豪奢の極みを尽くす。そんな国の首都に値するこのジュノーは、他の都市に比べれば治安は安定してはいてはいた。
 国が国力を挙げて創設したマジックアカデミーや、セージキャッスルなど、国の重要ポイントがいくつも点在するこの街には、必要以上の官憲が配属されていた。サーベルを腰に携え、口元をローブで隠し、兵帽をかぶって歩く彼らの姿は、町を歩く人々にとって、畏怖と安全の象徴でもあった。
 とはいえ、ここ数年、ジュノーでは特に際立って大きな事件が起こることもなく、ユミルの心臓というブラックボックスを動力として平和にふよふよと空に浮かんでいた。

 そんな町の片隅の小さな家で、響く怒号。

「こーーーーーーーーーーらぁああああああ! 待ちなさーい!」
「わ、わわ!? お姉ちゃん、待った、待った、それ投げちゃ駄目、フラスコは投げちゃ駄目ー!」

 後ろでカシャーンとか聞こえたのは、もしかしてあたしが一生懸命ためたお金でやっと買えた最高級フラスコが、無残にも無常にも無慈悲にも交通事故にあった音でしょうか。アレ買うのに何冊分の本ができるぐらい論文書いたと思ってるの、お姉ちゃん。
 そんなことを考えながら、逃げる少女は滂沱のように流れる涙を振りまきながら、後ろを猛スピードで追いかけてくる姉から逃亡を図ろうと必死に足を動かした。少女のラボから始まったこの激戦の戦場は、既に彼女達の家から庭へと移っている。そのまま、庭を突っ切って市街地へ。行きかう町の人々が、ああ、またあの姉妹かぁ、などと、頬を緩ませながら彼女たちを見送った。

 が、しかし。
 少女はラボに引きこもって研究を続け続けること早数ヶ月。今をときめく流行の最先端HIKIKOMORIである。久々に家の外に出たというのが、姉に追い掛け回されたが故というのが少々悲しい十五歳。
 毎朝規則正しく目覚め、自分達の食事を作り、洗濯をし、暇なときは近所に住まう子供達のために剣術教室などを開いているばりばり健康派な姉にかなうわけもなく。

「ふーふーふー、やーっと捕まえたわよ!」
「うー。全力で追ってきたら勝てるわけないじゃなーい」

 空の上にぷかぷか浮かんでいるジュノーにしてはなかなかに珍しいサイズの大樹の下で、ぷらーん、と、小柄な部類に入る彼女の襟首を掴み、猫のように宙吊りにする姉を見つめる。引きずられないだけまだマシと思うべきなのだろうか、女の子として。というより、何でこの人は自分を普通に目線まで持ち上げれるのだろう。普段から振り回してるあの馬鹿でかい剣は、日常生活に反映するほどのパワーを与えてくれるのか。

 彼女は宙ぶらりんのまま不貞腐れ、目の前にいる姉を見る。ぴくぴくと、笑顔で青筋が立っている我が姉。このままだと、右腕一つで自分を宙ぶらりんにするだけに等しいパワーで振り落とされる左の拳骨が、あたしの大切なのーみそに振り落とされることになる。姉はすっからかんでも、学者でる彼女にとっては命より大事な場所なのに。そんな大切な脳細胞を傷つけさせるわけにはいかない。どうしよう。

 そんなことをつらつらと誤魔化し笑顔で考えていた彼女は、一つの妙案を思い浮かんだ。
 ここでふにゃーとボケたら見逃してくれるだろうか。姉は元来、猫に弱いし。よし、やってみよう。

 ……期待するべくはあるまい。

「うにゃー」

 やってみた。

「……あなた、ふざけてる?」
「いえいえ、滅相もありません、マム」

 帰ってきたのは物凄い殺気だった。何ていうのだろう、バフォメットの目の前で思わず裸踊りしてしまったぐらいに全身の毛穴が拡張した。思わず引きつった笑顔で敬礼してしまう。
 こんな思考能力で、この国屈指の学者というのだから世の中わかったものではない。

 が、そんな最中、はーっ、と何か一緒に幸せまで逃げて生きそうな勢いでため息をつく姉。どうやら怒気は殺がれたらしい。やはり猫ダメージが聞いたか。強いぞにゃんこ。
 そんな風にしたり顔でほくそえんでいた妹を見ていたのか、それともまったく自然な行動だったのか、姉は掴んでいた襟首をぱっと離して背を向ける。とっさの出来事に「え?」と彼女が思う間もなく、何も反応ができず重力にしたがって墜落した。お尻から落ちたのは不幸中の幸いか。
 ふぎゃ、などと、女の子にしては少々閉口しかねない悲鳴を軽くスルーしつつ、姉はそよいできた風に大きく伸びをした。

「いったーい! 何するのよお姉ちゃん、こんな可愛い女の子を投げ捨てるなんて!」
「誰が可愛い女の子よ、誰が。あんた相手にしてると私が疲れるのよ。あーあ、もう汗かいちゃった」
「さっきまで物凄い勢いで突進してきたくせに……」
「何か言った?」
「いえいえ、滅相も」

 ぱたぱたと、薄い布地で作られた戦衣の胸元を仰ぎ体の奥に風を送りいれる。その様を、彼女はじーっと座り込んだまま見つめていた。もとい、その凶悪なまでに自己主張を続ける一点のみを凝視していた。まるで小さい子供が、自分の大好きなお菓子を目の前で親に食べられているように食い入るように姉を見つめていた彼女は、やがて俯くようにして自分のを見てみた。もう一度、姉のを見つめてみる。そして、また自分のを見る。
 何か、無意味にマリンスフィアーを大量生産して街を壊滅したくなってきた。

 そんな妹の挙動不審に気づいたのか、姉は扇ぐのをやめきょとんとした顔で妹を見下ろした。一瞬何かを考えるように視線を自分と妹と移し、合点が行ったとばかりに口元に微かな笑みを浮かべる。

「わ、わわ。それ、普通に誇られるよりむかつくんだけど!」
「あーら。何でかな? 別に私は何も言ってないわよ?」
「むきゃー。普通、そういうときは妹のためを思って厚着するとか色々しようと思わないの!?」
「イヤよ。もう温かくなってきたのに」

 妹がしょぼくれてる原因の、男達からすれば目のやり場に少々困るその豊満な双丘を見せ付けるようにしてからからと笑う姉に、ギギギと歯軋りしながら真っ平らな胸を隠すように我が身を抱きしめる妹という、何だか奇妙ながらも微笑ましい姉妹。
 姉は近所の子供達に護身術レベルの剣術を教える、周りから頼られ親しまれる剣術家。妹は少々引きこもりなのが玉に瑕だが、学会からは一目も二目も置かれている錬金術師。何とも奇妙に正反対な二人。

 春。穏やかに暖かい春風が吹き始めたこの日。
 空の上に浮かぶジュノーの街は、今日も奇妙に平和な日を迎えていた。
by Akira_Ikuya | 2006-07-02 16:06 | 二次創作


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